2010年6月20日日曜日

大相撲名古屋場所は見送るべし。

鷺沼の駅前のクチナシの花がいま盛りを迎え,芳香を放っている。道行く人が,ときおり,立ちどまって匂いを嗅いでいる。わたしもその中の一人。若い人がなにごとかという顔をして振り返っていく。
わずかに数本しかないクチナシだが,毎年,楽しみにしている。駅前の雑踏のなかに,こういう木が植わっているのがいい。しかも手入れがいいのが,とても元気。ことしも少し大きめの白い花をたくさん咲かせている。行きと帰り,一日に二度,楽しませてくれる。ほんのつかのまなれど,至福のとき。
さて,世の中,サッカーW杯で盛り上がっているかとおもえば,一方で,大相撲の野球賭博問題が連日のように大問題となりつつある。サッカーのことについては,少し落ち着いてから書くとして,今回は,それどころではない大相撲の野球賭博問題に焦点をあててみたいとおもう。
書き出すと際限がなくなりそうなので,まずは,結論から入ろう。間近に迫ってはいるが,名古屋場所は,日本相撲協会全体で謹慎し,休場とすべし。日本相撲協会の協会員はおよそ1000人という。親方衆,力士,行司,呼び出し,床山,など総勢でほぼ1000人。それ以外にも,場所を支える茶屋の人びとをはじめ,仕出屋さんから,裏方さんをふくめるととんでもない人数になるだろう。しかし,この人たちも全部ひっくるめて,野球賭博に手を染めた人は少なからずいる,と聞く。今回は,協会員の自己申告(厳重注意で済ませるという約束のもと)だけで,野球賭博に手を染めた者が29名もいた,という。しかし,これは氷山の一角だ,とも聞く(一つひとつニュース・ソースを明記すべきかとおもうが割愛)。この際,もう一度,徹底的に,協会員全員を対象に聞き取り調査をすべきであろう。そのためには膨大な時間を必要とする。が,それを躊躇してはならないだろう。なぜなら,この自己申告をした者だけを対象に調査委員会が踏み込んでいくとすれば,おそらく,大問題が生ずるとおもわれるからだ。つまり,正直に自己申告した者だけが厳罰を受けて,黙っていた者がすりぬける,という事態がおこりかねないからだ。正直者がバカをみることになる。そんなことが許されてよいわけがない。
日本相撲協会は,29名の名前を公表することを徹底して避けている。これを公表したら大変なことが起きることを知っているからだ。つまり,まだ他にもいる,という内部告発が起きることを。これがはじまったら,日本相撲協会はもはや立ち行かなくなるだろう。なぜなら,親方衆をはじめ,協会員のほとんどの人間は,野球賭博が行われていた事実を知っているはずだから。しかも,長い歴史をもっているはずだ。もはや,がんじがらめの状態になっている,と多くの識者は推測している。だから,内密に29名の処分をして,つまり,トカゲの尻尾切りをして,なんとかやりすごそうとしているようにみえる。これまでもそうであった。が,今回ばかりはそうはいくまい。理事長が声を大にして発言したように「徹底的にウミを出す」ことが先決だ。その理事長の部屋の力士(雅山)もまた「賭け事」に手を出していたと申告している,というのだからはじまらない。
真実が全部明るみにでてきたら,おそらく,日本相撲協会は一度,解散して,0(ゼロ)からスタートし直さなくてはならなくなるだろう。そのくらいの覚悟が迫られている。だから,とりあえずは,名古屋場所をお休みにして,日本相撲協会の協会員全員が謹慎して,こんごのあり方を考え直すべきではないか。いまから,名古屋場所をお休みにすれば,莫大な損益がでることは必定だ。その損益を日本相撲協会の協会員全員で負担するくらいの覚悟が求められている。そのくらいの強い姿勢を示さないことには,「なあなあ」「まあまあ」体質は直るまい。協会員が賭博に手を染めると,こういうことになるという事実を残すことが,なによりの教訓となろう。
朝青龍を引退にまで追い込んだ責任問題もある。横綱の品格を問題にし,国技を振りかざした日本相撲協会が,この体たらくである。こんどの野球賭博の疑惑にくらべたら,朝青龍問題などは「小さい」「小さい」不祥事にすぎない。以前に処分した「3場所出場停止」を,ひとつの判例として考えてみれば,今回の処分を,みずからの処分をどうすべきかおのずから明らかになろう。琴光喜の名古屋場所出場辞退などは笑止千万というべきだ。親方衆も相当数が「出場停止」処分となるとすれば,もはや,なにをかいわんやである。
わたしの推測では,モンゴル政府も(ということは,モンゴル国民の多くも)強い関心をもって事態の推移を見守っているだろう,とおもう。幕内力士の約半数はモンゴル出身力士だ。この人たちの身の保全を考えるのはモンゴル政府としては当然のことだ。今回の事態の収め方いかんによっては,朝青龍問題が国際問題として再燃しかねない。すでに,相当に大きな不満が渦巻いていると聞く。いまは国会議員として活躍している元旭鷲山は,すくなくとも力士の内部事情や悪弊には詳しいはずだ。しかも,かなり長い間,力士として活躍していたのだから。また,現役のモンゴル出身力士からの情報もいくらでも手に入るはずだ。
10月には朝青龍の引退相撲が行われるという。
このときに,日本相撲協会はどのような状態になっているのか,わたしは不安でいっぱいである。考えるだけで,ドキドキしてくる。よもや・・・,まさか・・・,やはり・・・,えっ・・・,のいずれの答えが待っているのだろうか。大相撲ファンとしては複雑な気持ちである。

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