2011年1月28日金曜日

人間インフルも「人災」だ・・・・・。困ったことがいま進展しつつある。

 鳥インフルは「人災」だ,と思って書いているうちに,「あっ,人間インフルも同じではないか」と気づき,やはりこれも書いておこうと思います。ただし,人間インフルの方は自由競争という名のもとに安易に人間の欲望を充たしすぎた結果にすぎないのですが・・・。それでも,結論は同じ。人間もまた,鶏と同じように,この半世紀の間に「免疫力」のいちじるしい低下。
 またまた古い話からはじめます。わたしの子どものころ(もう65年も前のこと)は,みんな「鼻ったれ小僧」でした。わたしも立派な「鼻ったれ小僧」でした。冬になれば間違いなく鼻の下に2本の「うどん」が出たり,入ったりしていました。しかし,ときに,間違ったように鼻をたらしていない子がいて,どうしてなのだろう,と子どもごころに思ったものです。まあ,冬になれば教室のほとんどの子が,みんな鼻をたらしていて,ズルズル鼻を吸い上げる音があちこちでしていました。言ってしまえば,冬の間はいつも,みんな慢性の風邪を引いていたのです。
 それでもみんな学校にきていました。風邪で学校を休むなどという子は滅多にいませんでした。クラスに一人だけ,からだの弱い子がいて,この子はちょくちょく熱を発して休むということがありました。この子は,なぜか,鼻をたらしてはいませんでした。が,休み時間も教室の中にいて,外にでてみんなと遊ぶということはしませんでした。用心深く,養生をしていたのだと思います。だから,みんなもこの子には特別な応対をしていました。
 その他の子はみんな鼻をたらしながらも元気いっぱいに外で駆け回っていました。みんな慢性の風邪を引いていましたが,インフルが大流行して欠席が多くなって学級閉鎖になる,というようなことはありませんでした。つまり,鼻をたらす程度の軽い風邪で食い止めていた,それだけの免疫力があったということでしょう。
 当時は,着るものも不十分,家の建て付けが悪いのですきま風が部屋の中を吹き抜けていました。ですから,冬になるとみんな寒さに震えていました。個人の家の暖房設備は火鉢だけ。みんなここに集まって手をかざして暖をとる。それだけでした。学校は,いまでもはっきり覚えていますが,10℃を割ると,教室にあるダルマ・ストーブに火が入ります。ですから,毎日,朝,教室の温度計とにらめっこでした。11℃,などというのはもっとも恨めしい温度でした。もっとも,10℃を割って,ダルマ・ストーブに火を入れて燃やしたからといって教室が温かくなるわけではありません。ストーブのまわりが温かくなるだけです。でも,みんなそこに集まってきて暖をとります。これが,なんと楽しかったことか。そういうときは,ほとんど授業にはなりません。仕方がないので,先生がアドリブでいろいろのお話をしてくれました。これが授業よりも,なによりも楽しみでした。
 あの時代から考えれば,いまは,まるで別世界です。一番大きな差は,アルミサッシの導入でしょうか。外気を完全にシャットアウトして,室内の温度を自由自在にコントロールできるエアコンがセットされています。この状態が,よほどのことがないかぎり当たり前のこととなりました。こういう環境の中で育つ,いまの子どもたちには鼻ったれ小僧はひとりもいません。つまり,慢性の風邪を引いているような子はいないのです。回虫も絶滅し(われわれの子ども時代にはみんて胎内に回虫を飼っていました),鼻ったれ小僧もいなくなり,とても健康な社会が到来したかのようにみえます。が,はたしてそうでしょうか。
 それどころか,インフルの大流行が,毎年,くり返され,それが当たり前の時代になってしまいました。風邪を引けば,医者に行く,注射をしてもらい薬を処方してもらって2,3日休む,ということが日常的になりました。会社でも,学校でも,シーズンの到来とともにだれかが休むと,いつかは自分の番だ,と覚悟するようになっています。これは,考えてみればとても変なことです。おまけに,インフルの予防注射まであって,これに国が補助金を出しています。これも,とても変なことだと,わたしは思っています。
 よくよく考えてみましょう。そこには,自分のからだを自力でコントロールできなくなってしまった人間が急増し,それが圧倒的多数を占めるようになった結果,国家が乗り出してきて応急処置として予防接種を奨励している。しかも,それでよし,としている人がほとんどです。これがこんにちのわたしたちの置かれている情況です。
 鳥インフルに当てはめてみると,風邪を引いたら「殺処分」の対象です。この「殺処分」になった鶏の代償を国が8割負担して養鶏家を助けています。しかし,新聞などの報道によれば,鳥インフルにかかった鶏の肉を食べても,玉子を食べても人間にはなんの影響もない(影響のあった人は世界中に一例もない),といいます。にもかかわらず・・・・。わたしにはわけがわからない。
 もちろん,こういう「殺処分」をすることによって,だれが得をし,だれが損をするのか,ということぐらいはわたしにもわかります。この構造はなにかととてもよく似ています。そう,アメリカの言う「テロとの戦い」です。つまり,「テロリスト」と名づけてしまえば,「殺処分」というわけです(日本のマスコミ報道もみんな「右へならへ」で,アメリカと同じ立場をとっている)。
 このように考えてきますと,人間インフルもまた,鳥インフルと同様に,間違いなく「人災」です。その根源にある原因は免疫力の低下です。そのことの自覚を欠いた人びとが政治の主導権をにぎっているために,その原因を取り除くための処方が無視されています。そして,人間を国家管理のもとで予防接種という名のドーピング漬けにして,ある特定の人びとが得をする仕組みが着々と構築されていくのです。
 いま,必要なのは,根源的な原因を除去することです。なにゆえに,これほどまでにインフルが大流行するのか。繰り返し答えを言っておきます。現代人の免疫力が低下したからです。なにが,現代人の免疫力を低下させる原因になっているのか。それは明々白々です。そこに,なぜ,政治家は手をつけようとはしないのか。自分たちの得にならないから・・・・。情けない。しかし,その元を質せば,このことに気づかない(手を出さない)政治家を,わたしたち選挙民が選んでいるのです。だから,それはわたしたちの責任です。ここから出直すしか方法はありません。
 「テロとの戦い」も同じ。テロということばはできるだけ使いたくありません。これはれっきとした差別用語で,イギリスのBBC放送ですら,テロとか,テロリストということばは使わないそうです。では,日本語ではなんといえばいいのか。「自爆的抵抗」(西谷修)をする人たち。自分のからだにダイナマイトを巻き付けて,死を覚悟して抵抗する人たち。こういう「自爆的抵抗」をする人たちが,どのような理由で登場するようになったのか,そこのところをこそ糾すべきでしょう。そして,その原因を取り除くこと,それこそが「正義」でしょう。抵抗する人間はすべて有無を言わさず「皆殺し」にすることが「正義」とはとても考えられません。しかし,国際社会という先進文明国の多数が「テロとの戦い」を「正当化」し,正義」だと認めてしまっています。この狂った「理性」こそが最大のガン。
 いつのまにか熱くなってしまいました。
 ここに,もうひとつ,スポーツの世界における「ドーピング問題」が加わります。アンチ・ドーピング運動などという「まやかし」がまかり通っています。困ったものです。が,これを語りはじめますと,もう,エンドレスになってしまいますので,残念ながら,ここでは割愛。(その一部は,すでに,このブログでも書いていますので,探してみてください)
 以上,鳥インフル,人間インフル,テロとの戦い,ドーピング問題,これらはすべて同根の「人災」です。どこかで一つだけボタンのかけ違いをしてしまい,それ以後,そのかけ違いに気づかないまま,こんにちにを迎えてしまいました。これを直すには,「かけ違い」をしてしまったボタンのところまでもどって,そこから一つずつボタンをはめていけば,きれいに問題は解消するはずです。また,それしか方法はない,とわたしは考えています。

 あれもこれも欲張ってしまって,全部ここに持ち込んでしまったために,問題があまりに錯綜しているようにみえるかもしれません。が,根っこは一つ,ということを理解していただければ,それで十分です。その拠って来る原因を突き止めて,その原因を取り除くこと,それが先決です。ただ,眼前の表象に踊らされて,応急処置だけでごまかしておいて,ことのすべてを解決したかのように錯覚させようというのは間違いではないか,というのがわたしの主張です。
 人間が人間であるためのもっとも大事な理性がどこかで<横滑り>を起こし,狂気と化してしまった,だから,もう一度,生きものとしての人間のレベルに立ち返って,理性のあり方を問い直すことが必要だ,と『理性の探求』の著者・西谷修さんは主張されています。わたしもまったく同感ですので,この路線でこのブログも考えているつもりです。でも,ことば足らずであったり,牽強付会であったりして,曲解しているところがあったとしたら,お許しください。
 今回は,書いているうちに突然の「萌の襲」が始まってしまい,思いがけない展開になってしまいました。意とするところをご理解いただければ幸いです。
 いささか長くなってしまったことも謝ります。ほんとうは,もっと簡潔に書けるようにならなくてはいけません。まだまだ修行が足りません。反省。
 にもかかわらず,最後まで読んでくださり,ありがとうございました。

 最後にもう一言だけ。いま,とんでもなく恐ろしいことが眼にみえないところで着々と進展している,このことだけは忘れないようにしましょう。そして,できるだけ高いアンテナを張ってそのことの進展を注視するように努力しましょう。これから生まれ出ずる生命のために。
 

1 件のコメント:

大仏 さんのコメント...

 「鳥インフル,人間インフル,テロとの戦い,ドーピング問題,これらはすべて同根の『人災』です。」という一節…、学校現場を取り巻く状況でも、同じことが言えるのかなあと感じました。
 掛け違えたボタンを直すこと…、大変かもしれませんが喫緊の課題かと思います。