2011年3月3日木曜日

とうとう茂木健一郎先生が堕ちるときがきたか?

 人間はあまりにちやほやされると狂ってしまう。むかしからよくある話。「役者殺すにゃ手間隙いらぬ。三日続けて褒めりゃいい」という。
 脳科学者として注目を集め,講演に著作にと超多忙な茂木健一郎先生も,「褒め殺し」という忍術にひっかかってしまって,ついに馬脚をあらわしたというべきか。それもいわずもがなの「つぶやき」(ツイッター)をとおして。たったひとりの「自爆」。
 NIFTYが配信しているニュースのなかに,「茂木氏,Webで朝日新聞に暴言」という見出しがあって,開いてみたらびっくり仰天。例の入試中に「ヤフー知恵袋」に投稿して回答をえていたとされる「偽計業務妨害容疑」者が逮捕されたというニュースに関しての,茂木氏のつぶやきが,もう一つのニュースになってしまった。その過激な表現には,いささかあきれてしまうほかはない。
 たとえば,以下のとおり(抜粋する)。
 「クズ朝日新聞が,逮捕されたとオレの携帯にニュース速報を送った」「京都大学,お前は死んだ!」というような調子である。あとは,あまりにみっともないので,紹介するのもイヤになるほどの文言の連続である。なにが勘に障ったのか知らないが,あまりのご乱調である。
 わたしは,しばらく前から,茂木氏の書くものや発言には「要注意」と,周囲の人たちに語ってきていた。あまりの独断と偏見が,意外なところで,ちらりと顔をみせることがあるからだ。茂木先生に心酔している人たちにとっては,心地よい響きになっていたかもしれない。しかし,冷静に茂木氏の発言に耳を傾ける人間には「おや,おや?」と思うことが,とりわけ,最近になって多い。そして,ついに,今回のつぶやきとなって一気に表出してきた,というべきか。
 わたしが,決定的に茂木氏にクエッション・マークをつけたのは,昨年の脱税問題のときの茂木氏の発言に触れたときである。3年間,税務申告をしていなかった(つまり,脱税)ことが発覚して,税務署から注意があったときに,新聞社の取材に対して茂木氏はなんと応答したか。覚えている人も多いと思う。茂木氏はつぎのように応答した。
 「あまりに忙しくて忘れていた」「ときどき思い出したが時間がなかった」
 「税務署が全部,計算してくれたので手間がはぶけて助かった」と。
 前者については,社会人として失格である。時間がなかったのは事実として認めるとして,それほどに稼いでいたのだから,税理士に委託して,税務申告をすべきでしょう。それもしなかったというのは,あなたはよほどのヅボラか,無神経な人か,はたまた意図的な確信犯だったのか,ということになってしまう。
 後者の発言にいたっては,もはや,なにをかいわんや,である。人間として失格である。わたしは,ある種の憤りさえ覚えたものである。そして,これで茂木氏は完全に失脚するなぁ,可哀そうに,と思った。
 ところが,である。NHKをはじめテレビには,相変わらず出演しているし,新聞や雑誌でも,さしたり批判もなく,これまでどおり,いや,それまで以上に大活躍である。単行本の刊行もあとを断たない。いったい,メディアの人たちというのは,カネになることなら,なんでも目をつむってしまうという重篤な病気に犯されているというのだろうか。それとも,それに気づかないまま,茂木氏の書くことやテレビでの発言を鵜呑みにしてしまう,われわれがいけないとでもいうのであろうか。
 いずれにしても,今回のつぶやきは,只事ではすまされないだろう。なぜなら,あまりに常軌を逸した「暴言」にすぎるからだ。
 わたしの個人的な感情としては,茂木氏はそろそろ身の引き際を自覚してほしい,そして,メディアは葬送行進曲でも奏でてほしい,と正直に思う。だから,最後に,お疲れさん,とひとこと。なぜなら,茂木氏の初期の著作からは多くのことを,わたしは学ばせていただいたから。それだけに,近年の「狂い方」は残念の極みである。
 「好事,魔多し」という。順風満帆のときこそ,わたしたちは気持ちを引き締めてかからねばならない。こんなことを茂木氏は,わたしに再確認させてくれた。その意味では感謝。

1 件のコメント:

まゆのほっぺ さんのコメント...

そうですか、勉強になりました。言葉の端々で人の性格を浮き彫りにしてしまう、見抜く力に感服いたしました。