2011年7月10日日曜日

第28回全日本武術太極拳選手権大会2011,を見る。

7月8日(金),9日(土),10日(日)の三日間にわたって,ことしの太極拳の全日本選手権が開催されました。毎年,楽しみにしている大会です。そして,大会を覗いてみていつも思うことは,太極拳が年々,進化しているということです。選手たちのレベルが上がってきているというべきでしょうか。あるいは,太極拳の試合の仕方が進化しているというべきでしょうか。やはり,試合のルールが変わると,演技内容も変わるわけですので,当然といえば当然なのですが・・・・。それにして,毎年,新しい発見があってとても楽しい大会であることは間違いありません。

ことしは,わたしの日程がどうしてもやりくりがつかず,今日の10日(日)の最終日にでかけるのがようやくでした。でも,行くことができてよかった。その代わり朝一番から全部みてやろうと意気込んででかけました。

そして,結論。大満足。大,大,大満足。
理由はたくさんあります。

一つは,朝9時45分にはじまる第4コートの女子・陳式太極拳をみること。ここに,娘の友だちが出場することが事前にわかっていたので,まずは,ここに注目。去年は第二位だったそうです。しかし,それだけでもすごいなぁと思っていたら,ことしのプログラムをみるとシード選手になっている。名前は八木原由希子さん(大阪府武術太極拳連盟所属)。楽しみにしていたこの人の表演が素晴らしかったので「想定外」の感動をしてしまいました。こんなにうまくなっているとは,じつは,思っていませんでした。そのうまさも群を抜いてのうまさでした。他の選手たちとはまったく別の世界を遊んでいる,それもじつに楽しげに遊んでいる,そういう太極拳でした。もう,なにものにも邪魔されることなく,悠々自適の境地を歩む,そういうものを感じました。完全に彼女の世界に入り込んでいて,この太極拳は他のだれも真似はできない,そういう深いものを感じました。
しかし,結果は第二位でした。第一位は陸〇(揺を王編に訂正)さん。結婚して日本に住むようになった中国の人。しかも,太極拳のプロとして中国で活躍していた人だそうです。日本でも太極拳を仕事にしている人。太極拳を教えることはもとより,太極拳関連のユニフォームや器具を輸入販売している人だそうです。さすがに,この人の太極拳もみごとなものでした。が,どちらかといえば,いかにも中国人的な,個性的な表演でした。この中国のプロと互角に闘い,僅差の第二位です。この第二位はとても価値のあるものだとわたしは思います。
それよりなにより,この八木原さんの陳式は,一つひとつの所作にゆとりがいっぱいで,みていて心地よい。それでいて,締めるところはピシッと締まっている。その呼吸が絶妙でした。わたしが審判員だったら,間違いなく八木原さんに高得点をつけたでしょう。現に,何人かの審判員は,八木原さんの方に高い得点を表示していましたから,とても微妙であったことは事実でしょう。その意味で,八木原さんは大健闘。この調子なら,来年は間違いなく抜きさっていることでしょう。いまから,とても楽しみ。
この八木原さんが,今月の17日(日)には沖縄での娘の結婚披露宴に出席してくれるとのこと。沖縄でひとしきり,陳式太極拳で盛り上がりそうです。じつは,この八木原さんを演技のあと,わたしよりもさきにみつけて,わたしを呼びにきてくれたのは西谷さんです。なんと,西谷さんは沖縄ですでに八木原さんとは面識があって,一緒に太極拳の演技を披露し合った関係です。西谷さんもなかなか隅にはおけません。その西谷さんも17日に沖縄で合流することになっています。

二つ目は小島恵梨香さん(滋賀県武術太極拳連盟所属)の南拳をみることができたことです。小島さんはすでに日本を代表する選手として活躍された方ですが,いろいろ事情があって,二年間ほど日本を離れて台湾に留学されていました。その間,南拳の選手としての活動はストップしていました。久しぶりに日本に帰ってきて,やはり,できることをできるうちにやっておきたいと考え,今回の現役復帰ということでした。このことを大阪学院大学の松本芳明さんから聞いていましたので,なにがあっても小島さんの演技だけはみておきたいと考えていました。
一流選手の気迫というものはすごいなぁ,と今回もまたしみじみと思いました。わたしはご縁があって,小島さんが大学に入るときから面識がありました。そして,卒業するころには,大阪学院大学での「ISC・21」の月例研究会で研究発表までしてもらっています。その後,どうしているのかなぁ,とこころの隅で気になっていました。が,松本さんから,こんどの大会でカムバックするはずです,と連絡がありました。
この小島さんの演技がまたまた素晴らしかった。わたしは彼女の顔をみるなり,「完璧な演技でしたね。おめでとう!」と声をかけました。すると返ってきたことばは「ありがとうございます。徹底的にからだをいじめましたので,なんとか,やるべきことはできたかな,と思っています。でも,課題がいっぱいあってこれからがたいへんです」という。「課題があるからまだまだ伸びる。課題がなくなったら,そのときは引退だよ」と言って笑い合いました。
この小島さんたちの部門は「自選難度競技部門」といって,いわゆる国際大会などで「競技」として行われる太極拳の部門です。それぞれの競技種目の全国の予選を突破した人たちが集まってきて,今日がその「決勝」ラウンドだということです。ですから,こんにちの競技としての日本の太極拳を代表する選手たちが一堂に会して,その技量を競うというたいへんな種目だったわけです。小島さんはこの部門での堂々たる優勝です。

その他としては,「総合太極拳C」という競技がみられたことです。わたしはこの種目がどういものであるのか,じつは,知らなかったのです。で,どんな競技がはじまるのかなぁ,とぼんやりした意識で眺めていたら,なんと「42式」をやっているではないか。ああ,そうであったか,とばかりにわたしの眼は釘付けです。しかも,男子が第3コート。女子は第5コート。同時にあっちをみたり,こっちをみたりと楽しませてもらいました。わたしは,これまで李自力老師の42式しか見たことがありません(DVDで)。そのDVDをみながら,わたしは独学で42式を覚えました。これでいいのかなぁ,と半信半疑のまま,ひとりで稽古をしていました。ですから,今日は,全国の都道府県を代表する選手たちの「42式」(すなわち,総合太極拳C」を拝見させてもらいました。
なるほどと思ったのは,一人ずつ演技の内容が違うということでした。それは指導者にもよるでしょうし,一つひとつのわざの解釈の違いもあるでしょうし,それを演ずる個体の違いもあるでしょう。ですから,この人たちは間違っている,と最初は思いました。しかし,よくよく考えてみれば,レベルが高くなってくれば,その人なりの表現がでてくるのは当然のことです。ですから,わたしはわたしの解釈でとことん追い込んでいいのだ,と考えました。しかし,わたしには李自力というとんでもない師匠がいてくれますので,この人のDVDを徹底的に分析しながら,わたしの理想とする42式を追求してみようと今日考えました。

まだまだ書きたいことは山ほどありますが,とりあえず,今夜はここまで。
とてもハッピーないい一日でした。

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