2011年12月14日水曜日

城南信用金庫が「脱原発ビジネス」を本格的に支援するという話。

今日(14日)の『東京新聞』に,城南信用金庫の吉原毅理事長の談話が写真入りで大きく取り上げられている。それによると「脱原発ビジネス」を本格的に支援していくという。

早い時期に「脱原発」宣言をした金融機関として注目を浴びてきたので,いまでは城南信用金庫の名前を知らない人はいないだろう。わたしは,その情報を知って,いちはやく城南信用金庫・鷺沼支店に口座を開設した。そのときの話は,すでに,このブログで書いたとおりである。ほんのわずかな,ささやかな普通預金に過ぎないが,吉原理事長の心意気に賛同して,わたしなりの支援の意志を表明したつもりである。

だから,このような記事に触れると,なんだかわがことのように嬉しい。つい,この間も,東電からの電力購入を止めて,PPS(電力の小売業者である特定規模電気事業者)から購入することに決めたという報道があった。こういうシステムがあることを知らなかったわたしは,そういう方法もあるのか,と眼からうろこであった。

この話が,今日のインタビューにも紹介されている。以下は,吉原理事長の談話の一部。
「電気が足りなくなるから原発は止められないという議論がある。ならば東電が供給すべき電力を減らそうと考えた。東電の供給電力のうち,原発で賄っている分を減らせば原発を止められるはずだ。
電力の小売業者である特定規模電気事業者(PPS)から電気を買う。全国に47社あるPPSは,原発を一つも持っておらず,企業から買い取った余剰電力などを販売している。しかも電気代は大手電力会社より安い。原発に依存しない社会にぴったりの選択肢なのに,あまり知られていない。現在,PPSのシェアは3%だが,需要が増えれば事業者は設備を増強し,供給は増える。」

と語り,さらに,「PPSは50キロワット以上の(高圧契約をする)需要家なら利用でき,マンションや町工場,学校も対象になる。変更の手続きも書面で簡単にできる。小冊子をつくり,店頭や営業活動で顧客に説明したい」という。

すでに,ソーラー・システムの導入については支援をはじめており,一戸建ての屋根やビルの屋上などに設置しようとする人たちのための融資と事業者の紹介を行っている。そのためのパンフレットも店頭に置いてあるし,HPにも紹介されている。ソーラーの導入についてはいろいろの方法があるようだが,素人には,このような信頼できる金融機関が間に入ってくれると安心である。わたしが一戸建てに住んでいたら,すぐにも駆け込みたいところだ。

この吉原理事長の談話の下には,城南信用金庫の取引先である相模原市の中小企業有志が,家庭で手軽に使える節電商品を共同開発した,という記事が載っている。各家庭で,いま設定されているアンペア数を可能なかぎり低くするための測定器だという。10アンペア低くするだけで,電気代は相当に安くなる,という。どこの家庭も,標準のアンペア数で設定されているので,やや高めになっている。小家族であれば,一度に使用する電気器具を上手にコントロールすれば,最低のアンペア数で間に合うそうだ。そのための測定器だという。

普通に開発すると1000万円ほどかかるが,複数の事業者がみんな手弁当で負担し,80万円に抑えて,販売価格も5000円程度にしたいと考えている,とか。こういう自発的に「節電」のための器具を開発する人たちもまた,吉原理事長の話を聞いて,一念発起したのだそうだ。これからは,こういう「節電」のためのアイディア商品が,つぎつぎに出回ってくるのだろう。こんな小さな巷の町工場の努力が積み重なると大きな力となる。偉いなぁ,と感心する。それに引き換え,原子力ムラに寄り掛かって,楽して儲ける(数量的合理主義というのだそうな)ことばかり考えている大手メーカーの猛省を促したい。これからは数字ではない,ハートです,と教えてやりたい。

東電はいまもなお,計算方法をごまかして,原発のコストは安い,と主張している。なにをとんちんかんなことを,この後におよんで,よくぞ平気で公表できるものだ,とあきれ返ってしまう。この人たちには,人間の「ハート」はひとかけらもないのか,と直談判がしたくなってきた。社員のすべてがそんな人たちばかりだとは思いたくないが,それでもなお東電という会社にしがみついているところをみると,よほど美味しい汁を吸っているに違いない。そのうちに,だんだんと人間の「ハート」を忘れて,気がつくと「数字人間」になっていくのだろう。

その点,城南信用金庫で働いている人たちは,じつに溌剌としている。なにか困っていると,気づいた人が,デスクの奥の方からでも飛び出してきて応対してくれる。役職に関係なく,気づいた人が対応してくれる。だから,気分がいい。ついつい,「応援してますよ」と声をかける。すると,元気のいい声で「ありがとうございます」とかえってくる。ときには,「みなさんにそう言っていただけると励みになります」という社員もいる。

吉原理事長のコンセプトが社員の末端まで行き届いていることが,直に伝わってくる。1000円でも,2000円でも残高を増やして,ささやかながらも応援していきたいという気にさせてくれる。こんなことでさえ,人間は気分がよくなり,その日一日は幸せになれる。小さな感謝と小さな支援。その積み重ねが人生であってほしい,とみずからに語りかける。こんな日々を少しでも多くしたい,と祈りたい。

「お前,いつから,そんなにいい子になったんだい?」と天の声(笑い)。

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