2012年1月14日土曜日

フランスの原発,3分の2は改修工事が必要。その経費は約1兆円とか。

鷺沼の事務所で昼食をとるときには,ラジオのJ-waveを聞くことにしている。理由ははっきりしている。とてもすぐれたDJが何人かいるからだ。そのすぐれたDJの名前を覚えるほどの入れ込みはしていないが,とにかく,何人かは抜群に優秀。

今日は,そのうちのひとりだった(男性,もちろん,バイリンガル)。まず,かかっている音楽がとても心安らぐもので,この人の選曲のセンスのよさがにじみでている。話題はあちこちに飛んでいくのだが,一貫しているのは「脱原発」をはっきりかかげていること,そして,自分の主張をきちんと述べ,その根拠まで提示する。なかなかの人である。

そんな話題のひとつに,フランスの原発の現状に関する情報提供があった。しばらく前に,新聞で,フランスの原発を一斉に「ストレス・テスト」をすることになった,と読んで知ってはいた。しかし,その結果がどうなっているのかまでは知らなかった(ひょっとしたら,今日のホット・ニュースだったのかもしれない)。その内容がじつに衝撃的だった(わたしにとっては)。

その骨子を代弁すると以下のようになる。
フランスの原発の3分の2は,ストレス・テストの結果,改修工事が必要,という判定がくだされ,その改修費用はおよそ1兆円を要することが判明した。フランスは折しも,大統領選挙の前。国民の間で,原発の是非をめぐる議論が沸騰している。立候補予定者もみずからの立場を明確にしなければならなくなってきている。フランスは,これまで,原発もやむなし,という立場をとってきたが,このストレス・テストの結果をうけて,脱原発への選択肢が大きく浮上することになった。

その最大の理由は,二つある。一つは,原発はコストが安いと考えられてきたが,逆に,コストは高くつくということが判明したこと。改修費だけでこれだけの費用がかかり,さらに,廃炉にするにしても30年を要する費用が必要となる。しかも,使用済み核燃料の処理にも膨大な年月と費用がかかることも明確となった。二つには,コストが高い上に,危険を背負うリスクが高すぎる,ということがフクシマによってより現実的になったこと。核エネルギーは,いまだ,完全には,人間のコントロールできる範囲内にはないということ。一度,大きな事故が起きたら,もはや,人間による制御は不可能であること。

この問題を,フランス国民がどのように考えるか,世界が注目することになる。その結果いかんによっては,こんごの世界の趨勢に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。日本は,カン君が脱原発への舵を切ったのに,どじょうな野田君がどうも煮え切らない。そして,いまでは,ムラのチカラに流されつつある。こんな状態がつづくかぎりは,フランスの選挙結果に期待する方が早そうだ。ドイツにつづいて,フランスも脱原発の道を歩むことになれば,この影響は絶大である。日本もしぶしぶということになるのであろうか。それでもなお,日本のムラビトたちは,アメリカ親分の顔色をうかがいながら,へなへなと誤魔化しつづけるのだろうか。

いずれにしても,これからさきのフランスで展開されるであろう「原発問題」は目が離せそうもない。小学校から哲学の授業があり,就職試験にも「哲学」を必須とするところが多いと聞く。日本と違って,国民全体が哲学的教養をもとに,さまざまな議論をし,判断をくだしてきた国である。どういう議論の経過をたどるのか,そこに注目したい。

J-waveは,ほかにも女性のDJで素晴らしい人がいる。この人の放送を耳にしてしまうと,途中で止められなくなる,そういう魅力をもっている。ラジオのDJには素晴らしい人たちが活躍している。テレビのお人形さんたち(男も女もふくめて)とは比較にならない。とにかく,自己主張がはっきりしていて,聞いていて心地よい。

取り急ぎ,今日のラジオからの情報の受け売りまで。

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