2012年2月21日火曜日

沖縄返還40周年を迎えようというのに,米軍基地は固定化しかないのか。

昨夜(20日)のNHKクローズアップ現代では,玄葉光一郎外務大臣を招いて,沖縄返還40周年と米軍基地移設の問題について,国谷キャスターが鋭く切り込んだ。しかし,外務大臣は,子供だましのような理屈をならべて,ひたすら全力で取り組んでいる,このことだけをくり返し強調しただけで,中味はなにもない応答となった。

国谷キャスターは,沖縄県民は復帰40周年を機に,米軍基地の県外移設(できれば,国外移設)を強く望んでいることは,今回の宜野湾市長選挙をとおしても,はっきりとしている,と指摘した上で,政府のこんごの取組みを多角的に問いかけていた。その中心にあった問いかけは,このままでは,結果論として,嘉手納基地固定化しかないのでは・・・という点にあった。わたし自身も,このままの膠着状態がつづけば,最終的にはそこに行きつくしかない,と考えていた。だから,外務大臣がどのように応答するか,注意して耳を傾けた。

しかし,外務大臣は,嘉手納基地固定化はあってはならないし,絶対にそれを許してはならない,と強調するのみで,あとは,日米合意にもとづき,県内移設を認めてもらえるようこころからお願いし,ご理解をえられるよう最善の努力をするつもりだ,ということをくり返すだけの話。失望以外のなにものもない。

この外務大臣の応答を聞いていて,ああ,もはや民主党政権は嘉手納基地固定化で腹をくくっている,と思った。なぜなら,外務大臣の応答に,なんの苦渋も感じられない,むしろさばさばしたものを感じたからである。この人たちは,人間のこころを持ち合わせてはいない,とも感じた。ひたすら,日米合意と閣議合意の路線に沿って,それらを実現させることだけが努力目標であって,それ以外のことは見向きもしない。そして,これだけ努力したにもかかわらず沖縄県民は理解してくれなかった,と開き直るのみ(アメリカに対しても,日本国民に対しても)。それで仕方がない,と腹をくくっている。そういうものが,応答をとおして「透けてみえて」きてしまった。

アメリカが岩国基地も移設の候補に・・・・という案は,あっさりと「そのつもりはない」と野田総理も国会の予算委員会で答弁しているとおりだ。その前に,外務大臣が岩国の陳情団に応対し,そこでも「そのつもりはない」と明言している。この案について,政権与党のなかでも,真剣に協議をしたり,検討した痕跡はどこにも見受けられない。

県外移設についても,政府がやったことは,各都道府県知事にアンケート調査をしただけだ。たった,それだけで県外移設は不可能だと,さっさと結論を出した。あとは,なにもしないで,だから,沖縄県内移設しかないのだ,と押し切ろうとしている。こんな子供だましのようなゲームを平気でくり返している。(「3・11」以後の原発に対する対応も同じ)

沖縄県を除くすべての都道府県民が,みんな,知らぬ顔の勘兵衛さんを決め込んでいるだけだ。それを,政治家が代弁しているだけだ。これが「すべて」だ,とわたしは考えている。もっと,日本国民みんなが真剣に考えなくてはならない問題として,仕立て上げようという政治家はひとりもいない。

嘘でもいいから,東京湾を埋め立てて,嘉手納基地を移設するとしたら,どういう問題があるのか,と東京都知事,千葉県知事,神奈川県知事が問題提起してみてはどうか。全地域住民に考えてみてもらったらどうか。わが身に火の粉が降りかからないと,だれも,本気では考えない。大阪府知事だったときの橋下君は,さきのアンケート調査のときに,「検討する準備はある」と応答している。このように応答したのは大阪府だけだった。にもかかわらず,「検討してみてください」というお願いを政府がしたとは聞いていない。

最初から,沖縄に押しつけておけばいい,という暗黙の了解があるかのごとくだ。

しかし,ことしの5月15日,復帰40周年を迎える沖縄は,そんなに単純には済みそうにない。このあとに残された時間は,3カ月弱。この間にどのようなことが起こるのか,それ次第だ。

わたしもそれなりの覚悟が必要だと,いまから,気を引き締めている。

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