2012年5月2日水曜日

産経省前のハンストに参加の瀬戸内寂聴さんに拍手。

いま,ネットを流れている情報をチェックしていたら,瀬戸内寂聴さんが産経省前でハンストをやっている市民団体に加わって,ハンストに入ったという。

大病をしたあとは車椅子生活を送っていると聞いていたが,元気を回復しての意思表明の行動である。以前から脱原発の発言をしていたが,大飯原発再稼働にストップをかけなくてはいけない,と立ち上がった。立派,のひとこと。

いかにも寂聴さんらしい行動。思い立ったらすぐ実行。結婚も離婚も家出も,そして出家も,自分のなかで結論がでたらすぐに行動に移す。これほど自分のこころに素直に行動して,生涯を過ごしてきた人も珍しい。だから,彼女の小説の題材になる主人公たちも,多くは「自由人」。自分のこころに素直に生きる人の,鮮烈に光る「生」の瞬間をとらえ,そこを小説にした。

最近では,『東京新聞』に連載小説「この道」を連載していた。つい最近,完結したが・・・・。寂聴さんが出会った「自由人」がつぎからつぎへと登場し,すべて,自分の眼と足で確認した,たしかな取材にもとづく話ばかりで,わたしはハラハラドキドキしながら愛読していた。大杉栄をめぐる女性たちの話は,寂聴さんでなければ書けない,そういうきわどい話になっていた。

そんな寂聴さんがハンストに入った。89歳。車椅子。命の大切さを訴えて。

この人は,たぶん,もう,いつ死んでもいい,と覚悟を決めたに違いない。いやいや,そんな覚悟は出家したときに済ませてます,とおっしゃるかもしれない。ひょっとしたら,家出をしたときに・・・・。それは,一度,みずからの「生」に見切りをつけて,「再生」するための儀礼だったかも・・・。まだ,幼かった子どもを置き去りにしての家出だった。このことについても,寂聴さんは,包み隠すことなく懺悔をし,ありのままのこころの移りゆきを文章にしている。

命の大切さを,みずからの生き方の上でも証明してみせた人だとおもう。自分の「生」をまっとうするための「家出」。このとき,一度,死んでいる,とおもう。みずからを超えでる経験。それが,この人の作家としてのバネとなり,エネルギーの源泉となったに違いない。

ハンストを支援する輪が広がるだけではなく,そこには参加も支援もできないけれども,自分の身のまわりから脱原発依存への「小さな変革」を起こそうと志す人は,間違いなく激増するだろう。なにも行動を起こさなくてもいい。一人ひとりが,こころの奥底で,大事なのは「命」だ,とスイッチを入れるだけでいい。そして,貧乏しても「命」を守ろう,と覚悟するだけでいい。

瀬戸内寂聴さんのハンストに,こころからの拍手を贈りたい。

〔追記〕
NHKが,この情報をどのように扱うか,とても興味があったので,チェックしていたが,わたしが見ていた限りでは,予想どおり一切無視だった。

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