2012年7月9日月曜日

「孫文記念館」に行ってきました。

7月7日(土)の午前中の空き時間を利用して,友人のTさんが明石海峡大橋のたもとにある「孫文記念館」を案内してくれました。明石海峡大橋をその直下から仰ぎ見るのも初めての経験でしたが,その大橋を建造するために移築されたという「孫文記念館」を訪ねるのも初めてでした。

雨模様の空で,ときおり強い通り雨があるという天気予報でしたが,なぜか,わたしの行く先はいつも雨が止み,ときには青空さえ顔をみせてくれるという幸運にめぐまれました。もちろん,車で移動中には,予報どおり雨に見舞われました。が,到着すると雨は止む,ということのくりかえしでした。なんともラッキーなことでした。

「孫文記念館」は,JR舞子駅から徒歩5分。かつては白砂青松の名所で,海水浴客で賑わったと聞いています。が,いまは,しっかりと護岸工事がなされ,わずかに松林が残されているのみです。が,土曜日ということもあってか,海岸沿いの道路をジョギングする人を多くみかけました。「孫文記念館」もまた明石海峡に面した岸壁に建っています。そのすぐ右手上には明石海峡大橋が,それはそれは雄大な姿で聳え立っています。淡路島まで伸びている大橋の中程は,潮の流れが激しくぶつかり合うところらしく,黒い潮の流れと白波がみえていました。

「孫文記念館」には中国人のお客さんが多いようで,わたしたちが入ったときも,何人かの中国人の姿をみかけました。また,受け付けの女性も日本語の上手な中国の人でした。展示会場では,中国語が飛び交っていて,この記念館で働いている人と思しき人の説明も,みごとな中国語でした。帰りにそれとなく受け付けの中を覗いてみましたが,どうやら,みなさん中国系の人のようでした。

その理由は,そのときもらったリーフレットを読んでみたら,なるほどと納得。長い文章ではありませんので,転載しておきましょう。

この記念館は,中国の革命家・政治家・思想家である孫文(号は中山,又は逸仙,1866~1925)を顕彰する日本で唯一の施設で,1984年11月に開設されました。この建物はもともと神戸で活躍していた中国人実業家・呉錦堂(1855~1926)の別荘「松海別荘」を前身としており,1915年春,その別荘の東側に八角三層の楼閣「移情閣」が建てられました。外観が六角に見えるところから,地元では「舞子の六角堂」として親しまれていました。
孫文と「松海別荘」(移情閣)の関わりは,孫文が1913年3月14日,来神したとき,神戸の中国人,経済界有志が開いた歓迎の昼食会の会場になったときにはじまります。
その後,1983年11月,兵庫県が「移情閣」を管理していた神戸華僑総会から寄贈をうけ,改修を行い,1984年11月12日,孫文生誕の日に「孫中山記念館」として一般に公開されました。1993年12月には「兵庫県指定重要文化財」に指定されました。1994年3月,明石海峡大橋の建設にともない,いったん解体され,西南200mの現在地に移転,復原工事が進められ,2000年4月に完成しました。2001年11月,移情閣は国の重要文化財に指定されました。2005年10月,孫中山記念館は「孫文記念館」と改称されました。
この記念館には,日本と孫文,神戸と孫文の関わりを中心に,呉錦堂の生涯,移情閣の変遷などに関する展示が行われています。

以上です。
建物の外側はブロックを積み上げた洋館風ですが,内側は木造でした。窓には,鉄製の扉がついていて,なんだかものものしい防御の構えが感じられます。当時の治安の残像をみる思いがします。

展示物は写真や手紙などを中心に,当時の孫文を歓迎する雰囲気が感じられるようになっていました。わたしの関心事からすると,二階に展示されていた孫文の「書」が印象的でした。歓迎パーティの慌ただしいところで書いたと思われるような,いささかテンションが高くなっている書もあれば,ひとりで落ち着いた気持ちのときに書いたと思われるみごとな書(堂々とした威風すら感じられる書)があり,やはり人間的にも大きな人だったんだなぁ,としみじみ思いました。

全体の印象としては,中国の清朝を倒すために革命軍を組織し,戦いをいどむものの,そのたびに敗戦し,日本に亡命したり,華僑をたよりに東奔西走して資金を集め,ふたたび革命戦争を挑んだ人なんだ,ということが伝わってきます。久しぶりに中国の辛亥革命のいきさつを,そして,「三民主義」のことを思い出すことができました。

神戸というところは,やはり,一種独特の雰囲気のあるところだ,と再認識しました。三宮の賑わいが見せ掛けだけではない,なにか大きなバイタリティを帯びたものだということが,少しずつわかってきたように思います。また,チャンスがあったら,探索してみたいなぁ,と思いました。もっとも,Tさんに案内してもらわないと,どこにも行けませんが・・・・。

「孫文記念館」はお薦めのスポットのひとつです。ぜひ,訪ねてみてください。
今回はここまで。


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