2012年9月16日日曜日

日馬富士の綱とりがみえてきた。絶好調からくる風格。

 今場所の日馬富士の顔つきが変わった。からだも一回り大きくなってどっしりしてきた。それでいて動きは速い。すでにして横綱の風格をにじませている。絶好調が全身に漲り,それがオーラとなって表れている。だれよりも稽古をしたという自信がにじみ出ている。日馬富士が,これまでの世界とは別次元に一歩踏み出した,そういう印象の強い場所になっている。こういう日馬富士に化ける日を心待ちにしていた。

 今場所は13勝で横綱が手に入る。しかも,3大関が休場。二つ星を落してもいいという余裕がある。こうなれば万全だ。調子のいいときの日馬富士は白鵬に負けたことがない。なぜなら,白鵬は日馬富士のスピードについていかれないからだ。これもまた大きな自信につながる。このまま行けば全勝優勝で横綱が転がり込んでくる可能性大である。

 からだの細かった平幕の安馬の時代から,どんな相手にも逃げることなく真っ正面からぶつかり,一歩も引かないという相撲を旨としてきた。その姿勢が好きだった。負けても負けても真っ正面からいく。そして,そこからスピードのある突っ張り,のど輪,いなし,はたき,などの変化で自分十分となる。その相撲を長い時間をかけて磨いてきた。

 しかし,怪我に泣いた。からだが小さい,軽量の弱みといわれた。そのために,大関の手前で足踏みをした。大関になってからも怪我に泣いた。横綱になるチャンスも一度逃がしている。その教訓を生かして,猛然と稽古を積んだ。いつもにも増して稽古に励んだ。つまり,怪我をしないからだをつくった。それが今場所の日馬富士のからだだ。ひとまわり大きくなっている。このからだからにじみ出てくる,自信に満ちた顔,所作などに隙がない。

 そして,こんどが2回目の綱とりのチャンスだ。できることなら,千秋楽まで白星を重ね,全勝同士で白鵬と対決してほしい。白鵬の右からの張り差しをかいくぐって,突っ張り,のど輪,いなしで攻めておいて,左上手をつかみ出し投げを打って体勢をくずして寄り切り,という理想の型に持ち込めるかどうか。今場所のスピードなら可能だ。しかも,相手がよくみえている。

 ここにきてようやく日馬富士の「心・技・体」の3拍子が揃った。見違えるような風格さえ漂わせている。今場所の日馬富士の姿を,テレビではなくて,本場所に行って,この眼で確かめたいところだが・・・・。はたして,そのチャンスがつかめるかどうか,わたしの方に自信がない。できれば,千秋楽の取り組みはみておきたい。その結果いかんによっては,白鵬のこんごがみえてくる。日馬富士の調子がよければ,白鵬のからだよりも大きくみえてくるはずだ。

 相撲にかぎらず,絶好調のときの芸能者(あらゆるジャンルの)にはオーラがでている。とくに,相撲ははだかなので,それがじつによくみえる。からだが輝いてみえるのだ。場合によっては全身から白い粉が吹き出しているようにみえる。それはそれは美しい。力士のからだが美しいと感じられる瞬間だ。場所にでかけて行って相撲をみるわたしの楽しみの,ひとつのみどころである。

 だから,なおさらのこと,今場所の日馬富士のからだをこの眼でみておきたい。
 そのチャンスがつくれるか,どうか。
 今場所は千秋楽まで眼が離せない。
 楽しみな場所だ。

 全勝で綱とりだ。


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