2013年1月15日火曜日

「新しい文化の誕生」。帝京大ラグビー部,岩出監督のことばが素晴らしい。

 「史上初の4連覇」という見出しのすぐ横に,大きな見出しで「帝京大 圧巻」という文字が躍る。今日(14日)の『東京新聞』である。ラグビー大学選手権の決勝の結果を伝える,ビッグニュースを飾る文字たちである。思わず引き込まれるようにしてこの記事を読んだ。

 なかでも,帝京大ラグビー部の岩出監督のことばが強い印象となって残った。大学ラグビーといえば,明治があり,早慶があり,そして,同志社の名前がすぐに思い浮かぶ。にもかかわらず,帝京大が「4連覇」したというのだ。しかも,「史上初」である。名だたる大学ラグビーの名門をおしのけて,帝京大が君臨しているのた。どうして?,とまずは首を傾げる。そこには,なにか秘密があるのではないか,と素直に思う。

 やはり,その秘密を解く鍵はあった。帝京大のラグビー部の黄金時代を育て上げた岩出監督の存在がひときわ光っている。

 たとえば,つぎのようである。

 「岩出監督は勝利の源泉を『残像』『成功の可視化』と表現する。『下級生は成功した先輩の姿を見て,何をやるべきか,気付くのがだんだん早くなっている』『指導者が引っ張っていくのではなく,選手たちが引っ張っていく文化が育っている』と誇るふうもない。」

 わたしは何回も繰り返してこの記事を読む。読んでいるうちに,岩出監督に会いたくなってくる。この岩出監督とはそもそも何者なのか,と。直接会って,もっと詳しい話を聞いてみたくなる。なぜなら,この監督さんのことばからにじみ出てくる人間的な魅力に惹かれるからだ。この人はただ者ではない,とわたしは直観する。

 なぜなら,「残像」「成功の可視化」などということばをラグビー部の現場の監督さんが発している。わたしはわが目を疑った。この岩出監督さんは哲学者だ。並の人が発することばではない。長い時間をかけて醸成された,真剣勝負の世界であるラグビー部の指導をとおして得られたみずからの教訓のようなものなのだろう。しかも,それを実践して,「史上初4連覇」を達成した,というのだ。なかでも「指導者が引っ張っていくのではなく,選手たちが引っ張っていく文化が育っている」という,このことばにわたしは瞠目する

 そして,もう一度,読み返してみると「下級生は成功した先輩の姿を見て,何をやるべきか,気付くのがだんだん早くなっている」という談話が,ぐさりとわたしの胸にくい込んでくる。なるほど,帝京大ラグビー部が驚異的な強さを発揮するようになった鍵はここにあったか,と。

 どこぞの高校の,パスケットボール部の監督さんとは,スポーツをとおして観ている世界がまるで違う。大学と高校の違いがあるとはいえ,この「差」はなにか,とわたしは深く考え込んでしまう。なにも,選手やキャプテンを殴らなくても,ひとつの理念を,つまり「成功の可視化」を徹底して浸透させれば,選手たちは「気付くのがだんだん早く」なってくるというのだ。しかも,「指導者が引っ張っていくのではなく,選手たちが引っ張っていく文化が育っている」とまで言う。わたしは,このことばをとおして震撼する。なぜなら,それは新しい「文化」だという。

 この岩出監督は,明らかにこれまでの指導理念のセオリーを超克している。そして,まったく新しい指導理念に到達し,それを「文化」だと断言する。おみごと,としか言いようがない。なぜか,涙が止まらない。

1 件のコメント:

竹村匡弥 さんのコメント...

震えてしまうだにぃぃぃ
なんどかしぇんしぇいの文章を読み返していると、言わんとされていることが、しっかり読み取れてくるだにぃ。。。
震えてしまっただにぃ。。。

「体罰」はしなくなった。。。でも、いまだ「怒」らなければ選手が上手くならないと考えている指導者は多いんだにぃ。考えているというよりは、怒ることしかできない、というか。。。そういう短絡的な反応しかできない人もいるんだにぉ。こまったもんだに。。。
選手を怒っている場合、たいがいは自分の指導力のなさを晒しているだけのことが多いんだにぉ。。。

その怒鳴っている話をよくよく聞いてみると、とんでもなくど素人なんだにぃ。嘲笑どころか、怒りさえ沸き起こるときがあるんだにょ。。。