2014年1月12日日曜日

都知事選。細川元首相の出馬で俄然おもしろくなる。都民の選択やいかに。

 首相経験者が知事選挙に立候補した前例はないのだそうな。だから,菅元首相も,鳩山元首相も,本心はともかくとして,立候補の名乗りを挙げることができなかったらしい。しかし,さすがに名門お殿様は違う。世俗を超越している。「脱原発」をどこかで打ち出さないかぎり日本の未来はない,という殿様としての義憤を抑えきれず,ついに立候補に踏み切った。

 マスコミは,いつものとおり,早速,選挙誘導に入る。あいまいな姿勢で選挙民を誘導するくらいなら,いっそのことはっきりとした根拠を示して,特定候補を応援すればいい。敗戦後のしばらくの間は,徹底して共産党批判を展開した新聞社と,共産党を擁護した新聞社があって,子どもながらとてもおもしろかった記憶がある。有名な「帝銀事件」では,二つの大手新聞社が「有罪」派と「無罪」派に分かれて論戦が展開されたことがある。

 今回の都知事選は,ことの是非はともかくとして,「脱原発」を争点にした,とてもわかりやすい選挙戦になろう。そして,そのカードも出揃った。東京新聞は早くも,記事の書き方のなかに新聞社としての姿勢をにじませている。

 たとえば,1月10日(金)の朝刊一面トップに,「脱原発」元首相連合なるか,と書き,さらに,小泉氏と連携カギ,と見出しを付け,4人の候補者の写真を掲げている。その順番が,面白い。上から下に順に,細川⇒舛添⇒宇都宮⇒田母神,となっている。横並びではない。これは上下関係を視覚化し,無意識のうちに優劣を読者に刷り込もうという戦略である。普通なら,立候補順である。

 ネット上はもっと露骨だ。早くも,細川バッシングを華々しく展開している。「殿,ご乱心」(甘利・自民党)は,NHKニュースでも流れた。その割りには細川さんの顔の露出が少ない。明らかに舛添支持がその背景にあることが透けて見えてくる。読売,朝日,毎日,日経,東京,報知,といった新聞が,都知事選をどのように報道するか,みものである。

 さて,東京新聞が上下に並べた候補者を,各種マスコミがどのように取り扱っていくのか,とても興味ぶかい。細川さんが立候補するまでは,舛添候補の一人勝ちのような報道が一気に流れた。もうすでにして誘導がはじまった,と思っていたら,こんどは細川さんの立候補で混戦模様だと誘導する。読者の多くは,ああ,そうなんだ,とそのまま受け止める。ついでに,東国原さんも立候補してほしい。マスコミがどのように報ずるか。そうなったとき,はじめて「混戦模様」ということばが生きてくる。わたしの本音は,それを期待している。

しかし,こんどの知事選は,マスコミの誘導どおりには動かない,とわたしは考えている。そして,宇都宮候補の善戦が起きる,と期待している。自民・公明も民主も,独自候補を立てることもできず,ただ党利党略のためだけで舛添,細川の両候補を支援するという。それも「勝つ」という結果がほしいだけ。政策も理念もなにもかもまったく無視して。その点,宇都宮候補は前回同様,市民運動を基盤にした上で,共産・社民の支持を受けている。党利・党略も計算も打算もない,国や都のあるべき姿をきちんと提示し,その実現をめざす,まさに信念にもとづく立候補である。

 もちろん,わたしが東京都民であれば,文句なしに宇都宮候補を推す。前回,96万票獲得という実績をもっている。今回は,200万票が当選ラインだという。ならば,前回,宇都宮候補に投じた人が,もう一人ずつ仲間を増やすだけで,当選がみえてくる。ぜひ,そういう市民運動の輪が広がっていくことを願っている。

 それに引き換え,その他の候補はAKBの人気投票のようなものだ。もっとも酷いのは,舛添候補。除名された自民にすり寄ってまで立候補する,この醜態。その舛添候補を除名した自民が支援するという。この体たらく。なにをかいわんや。そこにあるのは党利・党略のみ。党員のなかには猛烈に反発している人も少なくない,という。当然だ。まじめな政治家なら当たり前のことだ。しかし,烏合の衆でしかない自民党は建て前を押しとおす。

 細川候補も脛に傷をもつ人。それをすでにネットは洗いざらいゴシップ扱いでかき立てている。それでも,小泉トリックスターが応援すると,自民・民主の「脱原発」派が動きだすのでは,とささやかれている。都民のなかの浮動票に属する人たちのうち,なんとなく「脱原発」という人たちの票を,小泉演説がかっさらっていくのでは,という。

 しかし,期待は,政府・自民党の暴走に危機意識をいだきはじめた都民が少なくない,という情報だ。この人たちが,少しだけまじめに考えれば,同じ「脱原発」でも,宇都宮候補のいう「脱原発」と,細川候補のいう「脱原発」は根っこの部分で違う,ということに気づくはずだ。そういう情況が生まれてくれば,宇都宮候補の当選ラインがみえてくる。そして,それは夢ではない。

 宇都宮候補は,前日弁連会長である。全国の弁護士に信頼されて会長になった人である。この点はもっと信じられていいのではないか。政治家は,なにをやらかすかわからない。とりわけ,小泉
純一郎氏はその印象が強い。実際にも,新自由主義に基づく経済政策を取り入れ,郵政民営化というとんでもないことをやらかしてしまった。そうしたツケがいま回ってきている。要注意人物の代表のような人だ。

 いずれにしても,小泉劇場に惑わされることなく,厳密な選択をしてくれるよう東京都民に期待する以外にない。こんどの都知事選は,結果いかんによっては,国政を揺るがすほどの大きな影響を及ぼすと考えている。大げさに聞こえるかもしれないが,天下分け目の関が原の戦いのようなものである。政府・自民党が一気に凋落していくことにもなりかねない。

 当然のことながら,東京五輪にも大きな影響がでてくるだろう。宇都宮候補は,すでに,新国立競技場の建築計画を大幅に縮小することを提案している。そして,無駄な経費を原発廃棄と東日本の復興に振り向けるべきだ,と主張している。

もし,宇都宮候補が当選したら,わたしもまた,日本から世界に向けて胸を張って発信することのできる,まったく新しい五輪の理念づくりに馳せ参じたいと思っている。少なくとも,これまでの五輪の開催の仕方に終止符を打ち,まったく意表をつくような新機軸を打ち出してみたい。と考えると,胸がドキドキしてくる。そんな夢を追いながら,これからはじまる都知事選を見守っていきたい。もちろん,宇都宮候補の健闘を祈りながら・・・・。

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