2014年1月8日水曜日

太極拳稽古初め。「大地に根を生やすように足の5本の指で床をつかみ取ること」・李自力老師語録・その41。

 正月元旦が水曜日でしたが,さすがにこの日は太極拳の稽古をお休みにしました。そして,今日(8日)がことしの稽古初めでした。とは言っても特別のことをやるわけではなく,いつものとおりの稽古でした。

 少しだけ違っていたのは,李自力老師が途中から顔を出してくださり,鋭い目つきでわたしたちの稽古をじっとみつめていてくださったことです。いつもは柔和な笑顔の李老師の目つきが鋭いのです。じっと,わたしたちの稽古をみつめていらっしゃる。なにか間違ったことをしているのだろうか,と心配になるほどでした。でも,それはわたしの杞憂でした。

 わたしたちの稽古が一段落したところで,李老師が立ち上がり,いつもの柔和な顔にもどって,ごくごく基本の動作について復習をはじめました。その一つは,24式の冒頭の動作でした。起勢から両腕を水平まで押し上げ,肩の力を抜いて柔らかに押し下げながら両足を曲げ,右足に加重をして片足立ちとなりながら上体の前に両手で輪をつくり,左へ腰を回転させながら左足を斜め前に送り出し,斜飛の動作を経て功夫の姿勢まで。そして,小止。すぐに,起勢からの動作を繰り返します。すると,90度ずつ向きが変化し,4回やると元の向きにもどってきます。

 この「右足に加重をして片足立ち」となるとき,右足の5本の指に力を入れて,床をつかみ取るように立ちなさい,と李老師。それは,一本の木が大地に根を張るような感覚です。そして,その伸びていった根の先から大地の気を吸い上げ,その気を股関節を通過させて左足に伝えながら左斜め前に送り出し,腰を回転させながらしっかりと斜飛を行い,功夫の姿勢を決めなさい,と。

 考えてみれば,この動作は太極拳の基本中の基本です。まずは,この基本を徹底的にからだに叩き込め,と仰っているように,わたしには聞こえました。なるほど,正月8日の稽古初めは,この基本に立ち返って,ゼロからスタートしなさい,というわけです。この動作がきちんとできないかぎり,つぎの動作もまた中途半端なものになってしまう,という次第です。

 この他にも,ピン・ポイントで,基本中の基本の動作を丁寧に教えてくださいました。それはとても細かな動作で,ことばではとても言い表せないものでした。李老師も,わたしのやることをよく見ながら,そのとおりに真似をしてください,と仰る。ウーン,といつものことながらわたしは唸ってしまいます。なぜなら,これまでに見えていなかった動作が,さらに分節化されて見えてきたからです。また,それが伝わるように示範してくださっているのです。

 それがわかるたびに,わたしは感動してしまいます。わたしたちの力量に合わせて示範してくださっているということがわかるからです。それでも,たぶん,いま,わたしの眼に見えているのはほんの少しだけにすぎないのだと思います。それでも,わたしの眼力が周期的にステップ・アップしているのが自覚できたとき,その悦びはひとしおです。

 ことしもまた楽しく太極拳の稽古がはじまりました。
 この悦びが感じられるかぎり,稽古はつづけようと思います。

 李自力老師,謝謝。

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