2014年3月4日火曜日

臨戦体制に入ったロシアにパラリンピックを開催する資格はあるのか。

 いま,ざっとインターネット情報をおさらいしてみたところ,すでにクリミア半島を実効支配し,ウクライナに対する軍事行動について議会の承認をとりつけたプーチン大統領は,完全なる臨戦体制に入っているようにみえる。そして,いま,水面下の攻防が激しく展開している様子も浮かび上がってくる。事態はまったく予断を許さない危機的な情況にあることは間違いないようだ。


 だとしたら,これから始まろうとしているパラリンピック冬季大会(2月7日開会式)をロシアが開催する資格が問われることになる。曲がりなりにもオリンピックは国際平和運動の一環として開催されてきた。たとえば,1940年に予定されていたオリンピック東京大会は,日本の開戦を理由に返上したという経緯もある。


 いつ戦争が始まるかもわからない,そんな不安定な状態のなかで,すでにソチに集結している選手団はいまどんな思いで過ごしているのだろうか。地理的にみても,同じ黒海に面しているクリミア半島とソチとは,まさに目と鼻のさきの距離だ。試合に臨むコンディションづくりどころではないだろう。不安の日々にさいなまれているに違いない。


 こんな情況のなかでも,IOCに特別な動きは報じられていない。精確にはオリンピック憲章を確認してみる必要があるが,少なくとも,IOCは開催国であるロシアに対して,いかなる理由があろうとも,オリンピック開催中は戦争をしない,という確約はとりつけるべきではないのか。


 すでに現地入りしている日本選手団に対して,JOCも日本政府もなにか特別の対応をしようとしているようには見受けられない。このまま静観して,そのままパラリンピックに突入していくことを願っているかのようだ。


 それどころか,日本政府は,アメリカの対応を無視するかのように,ロシアにすり寄り,これまでの外交路線を維持し,北方領土問題などの難題解決に向けて努力するという。となると,いよいよ日米同盟に亀裂が入ることになり,一部の報道によれば,ケネディ日本大使を一時召還するという話も,にわかに現実味を帯びてくることになる。となると,安倍政権の根幹をゆるがす大問題に進展していく可能性がある。いよいよアベノミクスも断末魔か。


 事態は風雲急を告げつつある。アメリカもEUも,ウクライナを守るために重大な決意をしている,という情報も流れている。つまり,単なる経済制裁くらいでは納まらない,という話だ。


 気の毒なのは,すでに現地入りしている選手団だ。身動きがとれないまま右往左往するだけだ。ある意味では人質でもある。いけにえ,見殺し,・・・・ことばがない。それでもなお,ソチのパラリンピックの応援に行くという人たちもいる,という。これまた不思議な現象というしか,ことばがない。


 いずれにしても,パラリンピック・ソチ大会開催に対するロシアの責任は重大である。願うべきは,いかなる理由があろうとも,ドンパチだけは回避する,ただ,それだけだ。そこに向けて世界の叡知を傾けるときだ。わたしはそこに期待したい。


 はたして,この行方やいかに。

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