2014年4月20日日曜日

北の湖理事長と九重親方の確執が露呈。貴乃花親方は漁夫の利。その背後にあるものは?

 数の横暴。一門の保有する潤沢な票数を自在に操る北の湖理事長。ワンマン体制をほしいまま。こんなことがまかり通ると思っているのだろうか。いずれ,どこかで,抑圧された怨念は「亡霊」となって表出する。その恐ろしさは百も承知のはずなのに・・・・。それにしても九重親方の人望は急速に失われてしまったらしい。その背景にあるものはいったいなにか。

 わたしの耳に入ってきた極秘情報とネット上を流れている情報がほんとうだったとしたら,という前提条件つきで,以下はわたしの個人的な虚実入り交じっての仮説。

 さきの理事選挙で九重親方(元横綱千代の富士)が落選してしまった。本人はもとより,相撲界を熟知するタニマチにしても,予想だにしなかったことが起きた。角界ナンバー2で,次期理事長の声も聞かれていたのに・・・・。「わたしの不徳のいたすところ」とは九重親方理事落選のおりの弁。ぐっと唇を噛みしめた顔が印象的だった。が,その顔にはすでに舞台裏の動きを読み切ったかのような,不敵な自信も表われていた。なにかを期するかのように・・・・。

 しかし,4月3日に,新しく公益財団法人に移行した新体制のもとで,新しく選出された理事による理事会が開催され,親方衆の新しい担当職務が決定され,発表されると,関係者の間に大きな波紋が広がったという。たとえば,九重親方に代わって角界ナンバー2の事業部長に座ったのは八角親方(元横綱北勝海)。つまり,九重親方の弟弟子である。しかも,この人事は次期理事長のためのショート・リリーフで,長期政権をになうことになる理事長の本命は貴乃花親方だという。そのためのお膳立てが今回の新人事だったというのである。

 しかも,九重親方の扱いはみるも無惨なものであった。悪くても,理事からワン・ランク下がって副理事待遇か,もしくはもうワン・ランクさがって役員待遇あたりで落ち着くはずと思っていたら,そうではなかった。それらもすべて飛び越えて「3階級降格」という前代未聞の扱いを受けることになった。その結果,どういうことが起きたか。単なる平の「監察委員」に就任させたのである。

 監察委員は,場所中の取り組みの内容を一番一番チェックして,八百長や無気力相撲がなかったかどうかを打ち出し後に責任者である監察委員長に報告することが仕事。その監察委員長に貴乃花親方が就任している。ということは,九重親方は貴乃花親方の部下として相撲協会の仕事を引き受けなくてはならないのである。昨日までの部下が上司になってしまったのである。九重親方の心中やいかに。しかも,貴乃花は41歳。最年少理事である。

 この貴乃花親方が,これまた破格の出世をしたのである。貴乃花親方が任命された役職は以下のとおり。広報部長,総合企画部長,指導普及部長,生活指導部長,監察委員長,危機管理部長の六つの役職に加えて,相撲博物館運営委員にも任命されている。しかも,北の湖理事長は「これからの角界を背負って立つ貴重な人材なので,たくさんの勉強をしてもらって,将来に備えてほしい」という談話まで発表しているのである。

 この貴乃花親方と九重親方の天と地ほども違う扱い方はあまりに酷すぎる。普通では考えられない。よくよく情報を集めてみると,北の湖理事長と九重親方との間に,とんでもない怨念の応酬があったという。両者の間には以前から小さな確執があってお互いにそりが合わないという噂は聞いていた。しかし,今回のこれほどまでの酷い処遇に関しては,そうなるべく理由があったというのだ。

 ことの発端は,北の湖理事長の腹心といわれる男が協会と業界との間に入って仕事をまとめた報酬(賄賂)として500万円を受けとった現場を,九重親方サイドが隠し撮りしていて,それをネット上に流したことにある,という。つまり,北の湖理事長失脚をねらったシナリオだ。これを知って激怒した理事長が,理事改選の折に九重親方の票の突き崩しに全力を傾け,落選予定の候補を当選させるという挙にでて,それがまんまと成功した。

 すると,旧理事の最後の理事会の折に,九重親方はくだんのフィルムの問題を持ち出し,理事長の責任問題を追求した。しかし,時すでに遅しで,理事長サイドはしっかりと根回しがしてあって,九重親方の動議はいともかんたんに否決されてしまったという。その上で,新旧入れ代わった新理事会での九重親方の処遇である。ここを先途とばかりに,徹底的な追い打ちを九重親方に課したというのが,角界通のもっぱらの噂である。

 長年,理事を務め上げ,次期理事長の最有力候補と多くの理事が信じて疑わなかった元横綱が,それも輝かしい戦績を残した名横綱が,理事選挙で敗北を喫した直後に「3階級降格」という,みるも無惨な処遇をしたなどという話は前代未聞である。それに引き換え,貴乃花親方に対する目にあまるほどの厚遇も,これまた前代未聞である。

 これにはもう一つの裏がある,という。現役時代の千代の富士の身辺には八百長の噂が漂っていた。また,稽古場での暴力問題もしばしば話題になった。それに引き換え,貴乃花親方の身辺には「兄弟対決」以外には八百長の噂はいっさいなかったという。そのことは力士仲間の間ではよく知られた事実だという。だから,貴乃花親方は一門を超えた他の親方衆たちからの人望もきわめて篤いという。北の湖理事長はここに目をつけ,貴乃花親方を自分の陣営にひきつけて,身の保全をはかったのだ,という。

 それにしても,九重親方の理事長への道を断ち切ったばかりか,八百長問題を監視する監察委員に任命し,清廉潔白で知られる貴乃花親方の部下に据えるという,あまりにできすぎたシナリオの展開には,どこか恐怖に似たものを感じてしまうのはわたしだけであろうか。

 ついでに触れておけば,貴乃花親方の父である先代貴の花(元大関)に引導をわたして引退に追い込んだのが千代の富士であり,その千代の富士を引退に追い込んだのがその息子の貴花田(当時)だった,という奇しき因縁までついてまわっている。

 こうなってくると,まだ,ひと波瀾もふた波瀾もありそうな気配が漂ってくる。これもまた大相撲を楽しむ醍醐味の一つだと言ってしまうと叱られるだろうか。わたしには,これぞ人間のドラマであって,だから大相撲は面白い,と感じられるのだが・・・・・。

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