2014年9月18日木曜日

シンポジウム「どうする米軍基地・集団的自衛権──オキナワの選択」傍聴記。

 恥ずかしながら「新外交イニシアティブ」(New Diplomacy Initiative / ND)という組織があって,沖縄問題に新たな視点からの取り組みをしているということを知りませんでした。しかも,沖縄問題(米軍基地問題)の解決は日本政府にいくら働きかけてもできない,なんの意味もないと見切りをつけ,アメリカ政府に直接訴えるロビー活動に活路を見出そう,という組織です。

 この組織の原動力となっているのが,ひとりの女性,いわゆる「でき女」。その人の名は「猿田佐世」。今回のこのシンポジウムを仕掛けたのもこの人です。


 新外交イニシアティブ(以下,NDと略称)とはいかなる組織なのか。そのときいただいたリーフレットによれば,以下のとおりです。

 NDは,日米および東アジア各国において,外交,政治に新たに多様な声を吹き込むシンクタンクとして,2013年8月に設立。国内はもとより,国境を越えて,各国政府,議会,メディアなどへ直接働きかけ,「新しい外交」を推進する。設立前より,沖縄を初めとする日本の国会議員等の訪米行動を企画・実施し,2012年2月および2014年5月の二度の名護市長の訪米行動のコーディネートを担当(名護市は2013年,NDに団体会員として加入)。

 まだ,できたてのほやほやの組織ですが,沖縄の米軍基地問題を解決するための,まったく新しい可能性を予感させる,しかも,最後の切り札にもなりうるのではないかと思われる,眼からウロコのような組織です。少なくとも,わたしは驚きました。こういう方法があったか,と。しかも,それを民間団体として成立させようというのですから。


 ついでに,その中心人物である「猿田佐世」という人の略歴を紹介しておきましょう。

 猿田佐世(さるた・さよ)〔新外交イニシアティブ事務局長〕
 2002年日本にて弁護士登録。09年米国ニューヨーク州弁護士登録。12年アメリカン大学国際関係学部にて国際政治・国際紛争解決学修士号取得。自らワシントンにてろビーイングを行う他,沖縄・日本の国会議員・地方議会議員,各団体等の訪米行動を企画・実施。大学学部時代から現在までアムネスティ・インターナショナル,ヒューマン・ライツ・ウォッチ等の国際人権団体で活動。著書に『国際人権法実践ハンドブック』(共著,現代人文社)ほか。

 冒頭にかかげたシンポジウムのプログラムをご覧いただければ,おおよそのことは理解していただけると思います。どのスピーカーのお話も熱がこもっていて迫力満点でした。なかでも,東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんと,やはり,コーディネーターの猿田佐世さんのお話が強烈に印象に残りました。その詳しい内容については,『虚像の抑止力』──沖縄・東京・ワシントン発安全保障政策の新機軸(新外交イニシアティブ=編,旬報社,2014年刊)をご覧ください。



 シンポジウムのサブタイトルにもありますように,「オキナワの選択」という大きな視座が,この組織には組み込まれています。つまり,最終的には「オキナワの独立」もありうる,という立場です。その根は,なにか大きな力に頼る運動の展開ではなく,自立/自律した,自由で,広い視野から固有の運動を展開していこうというところに伸びているようです。その意味で,この組織のこんごの活動に大いに期待したいと思っています。

 最後にただ一点だけ。いわゆる沖縄米軍基地による「抑止力」の議論は,まったくの虚像であり,なんの根拠もない,ということでシンポジストたちの意見は一致していました。そして,その理由がそれそれのスピーカーの立場から詳細に論じられました。納得の議論でした。

 取り急ぎ,遅くなりましたが,「傍聴記」まで。

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