2014年11月26日水曜日

辺野古移設に新展開か?あるいは,選挙対策か?

 昨日(25日)のブログで,政府自民党は辺野古移設は日米協定にもとづき粛々と進める方針だ,と書きました。ところが,今日(26日)の東京新聞の「こちら特報部」の囲み記事によると,衆院解散で海上作業を中断し,キャンプ・シュワブに設置された浮桟橋の撤去作業(22日)をおこなっていたことが明らかになりました。

 お詫びして訂正いたします。

 じつは,ネット上でも,「高度な政治判断がくだされ,辺野古移設工事が中断された」という情報は流れていました。しかし,この「高度な政治判断」がどこでなされたのかが明らかにされていませんでしたので,わたしとしては慎重にならざるを得ませんでした。が,今日の東京新聞の記事によれば,「高度な政治判断」とは,衆院解散・選挙に向けての政府自民党がおこなったことだ,ということがわかりました。

 したがって,長野の地震被災地のみなさんへの厚い手当てと同様なことが,沖縄でもなされていたということになりましょうか。共通項は,「選挙」対策です。辺野古移設工事を選挙中も強行すれば,沖縄選出の自民党議員は「0」になってしまう,という判断があったようです。すでに,県知事選挙によって,沖縄県自民党支部は大きな痛手を負っています。ここはなにがなんでも「1」議席くらいはなんとか確保したいところでしょう。だとすれば,ここは,辺野古移設工事を中断して,少しでもマイナス要素を減らしておこう,という判断がはたらいたとしてもなんの不思議もありません。

 しかし,東京新聞によれば,それだけではなく,新たな展開がはじまっているようです。移設反対派の攻勢は沖縄県庁の内部にも浸透していて,「埋め立て判断」は新知事にゆだねようという動きがあるようです。

 仲井真知事の任期は12月9日まで。県では,沖縄防衛局による埋め立ての工法に関する事務審査をしていて,すでに二度にわたって県は防衛局に質問を投げかけ,いずれも回答が返ってきているのですが,まだ,充分ではないとして三度目の質問を防衛局に投げかける方針を固めた,というのです。そうなると,仲井真知事在任中の「ゴーサイン」は出せなくなってしまうというわけです。これは仲井真知事にとっては大変な事態が出来したというべきでしょう。

 このままいけば,埋め立て判断は新知事の翁長氏に委ねられることになる,というわけです。政府自民党は,仲井真知事在任中になんとしても「既成事実化」してしまおうと必死に頑張ってきたけれども,それが果たせなくなってしまいます。そして,ついには,政府自民党の辺野古移設工事計画に大きな風穴が開いてしまうことになりそうだ,というのです。

 これはどうやら,沖縄県民の総意を受けた,まったく新たな展開のはじまりではないか,と考えられます。「オール沖縄」の威力が,こんな形で反映されることになるとは,ちょっと想定外でした。意外なことに県庁のなかに,しっかりとした見識をもった人たちがいて,冷静に県民の総意を見極めて行動する良識が機能しているという事実に,わたしは瞠目させられてしまいました。

 沖縄はすごい,と。平和惚けしてしまった本土の人間とはまるで違う,つねに「エッジ」に立たされて,辛い選択を迫られてきた沖縄県民の,未来を見据える視線の鋭さ,決意,覚悟がひしひしと伝わってきます。やはり,本土とは次元の違う先鋭的な問題意識が充満しています。時代のはるかさきを突っ走っている,そういう姿が浮かんできます。

 こんどの選挙をとおして,本土の人間たちがどれだけ目覚めるのか,そして,沖縄県民をどこまで見習うことができるのか,日本の将来を決する重大な選択が迫られているという自覚をどこまで持つことができるのか,短期決戦が迫っています。

 とってつけたような「猫だまし」のようなフェイントに惑わされないよう,ご用心,ご用心。

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