2014年11月5日水曜日

ショッキングな国道6号の放射線量。これが「under control」の実態の一つ。

 11月4日(火)の東京新聞に,じつにショッキングな記事が掲載されていましたので,少しばかり考えてみたいと思います。

 内容は,東京新聞の記者(大野孝志,山川剛史)がフクイチのすぐ横を通る国道6号を車で走って放射線量を測定したルポです。その見出しは「原発周辺 車内も高線量」「田畑 雑草だらけ」「警備員は軽装」。

 ショッキングだったのは,フクイチのすぐ近く(大熊町夫沢)を通過するときの放射線量が5.5マイクロシーベルトであったという事実です(写真でご確認ください)。国が定めた除染の長期目標は0.25マイクロシーベルトですから,その高さのほどがわかろうというものです。この測定が行われた日はどうやら北風が吹いていたようです。大熊町から北の双葉町に入ったとたんに,0.23マイクロシーベルトに下がっています。それに引き換え,大熊町から南の地域は高線量がつづいています。

 
この国道6号を,平日は約1万2百台の車が走っているといいます(磐城国道事務所の集計)。ここをかりに南の楢葉町から南相馬市まで車で通過したとして,いったいどれだけの放射線を浴びることになるのでしょうか。その計算の仕方を知りませんので,なんともいえませんが,素人目で想像してみるだけで,相当の量の被曝となるな,と空恐ろしくなってきます。

 やむをえない事情があって,たまに,ここを通過するだけならそれほどのこともないのかも知れません。が,通勤などで毎日,ここを通過しなければならないとなると,これは考えてしまいます。また,運送業のトラックの運転手さんなどは,業務上,どうしても頻繁にここを通過することになります。となると,こちらも心配です。

 また,窓を開けて走ったり,停車して車の外にでたりすることは禁止されている,といいます。そんなところを「通過」させることが,どういう結果を生みだすか,専門家にはわかっているはずです。にもかかわらず,国は国道6号の通過を許可した,というわけです。それだけではありません。帰還困難区域に入るには許可が必要で,その入口には検問所があり,そこで警備員が働いています。しかも,この警備員の人たちはふつうの服装でマスクをしているだけだ,というのです。いったいこの人たちの線量はどのように管理されているのでしょうか。この点を糺してみますと,「細かい労務管理は委託先の業者」に任せている,と警備などの維持管理業務を発注している内閣府の担当者が語っていた,とのこと。

 これがアベ君のいう「under control 」の実態の一部です。こうして,きわめて危険な状態にあるにもかかわらず,あたかも「安全」であるかのような「実績」を積み上げようとしています。わたしたちは,国道6号を車で走り抜けることができるようになった,という事実だけを受けとって,なんとなく「安全」になったように錯覚してしまいます。そうして,なし崩し的に「安全」神話が広まっていき,さも,なにごともなかったかのような雰囲気をかもし出そうという,国の魂胆がここに表出しています。恐ろしい罠がそこには仕掛けられている,というわけです。

 生活の利便性と危険性は表裏の関係にあります。しかも,それはほとんどの場合,「命」が引き換えの対象になっています。その典型的な事例がここに凝縮している,とわたしにはみえてきます。みなさんは,どのようにお考えでしょうか。ぜひ,考えてみてください。

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