2015年8月22日土曜日

ことしのサルスベリの花はことのほかみごと。猛暑が幸いか。その生命力に感動。

 ことしの猛暑が,サルスベリの木には朗報だったのだろうか,例年にない多くの花をつけている。
むかしから,夏の暑い盛りに花をつけるので,夾竹桃とともに人びとの尊崇の的だ。また,精力絶倫の木としても知られている。

 この木は,わたしの住んでいるマンションの管理組合が管理しているもので,いっときは花もつけないから切ってしまえ,という話もあったとか。しかし,いまから3年ほど前,わたしが管理組合の植栽部会に属しているとき,植木屋さんに相談してみると,まわりの木が大きくなりすぎていて,そちらに圧倒されてしまっているからだ,とのこと。まわりの雑木の枝を払ってやって,日当たりをよくしてやれば立派な花をつけますよ,とのこと。

そこで,早速,管理組合の理事会に諮って,周囲の雑木の枝を払ってもらうことにした。どういうわけか,雑木を伸び放題にすることを主張する人たちもいて,すったもんだの末に,ようやくわたしたちの提案がとおった。その3年後の姿がこれである。いまにも枯れそうだったサルスベリが,いまでは存分に枝を伸ばして生き生きとしている。そして,ことしのこのみごとな花である。

 
サルスベリという名を知った子どものころから,この木が好きだった。サルも滑るというその名のとおり,サルスベリの木に子どもたちが登るのは至難の技だった。年に一度,木の皮がはがれてツルツルの幹が剥き出しになる。だから,手がかりがないのだ。となればなおのこと,この木を制してみたくて,何回もチャレンジしたものだ。

親戚の寺の境内に一本だけサルスベリの木があって,泊まり掛けで遊びに行ったときなどに,この木に挑戦したことを思い出す。しかし,なぜか,この木に登ろうとすると祖母が「登ってはいけない」という。理由を聞いても「この木は登ってはいけない木なのだ」としか答えてはくれなかった。なにか,口にしてはいけない理由があるようなそぶりだった。が,最後まで教えてはくれなかった。いまもわからないままだ。

この木の手前には,大きなスーパー・マーケットがあって,毎日,多くの人がここを通りすぎていく。ほとんどの人はあまり関心がないようだが,中には感じ入ったようにじっと眺めている人もいる。そういう人に出会うとなんとなく嬉しくなる。

 
やはり,真夏の盛りに満開の花を咲かす,その生命力はすごいものだとおもう。ほとんどの木が夏には暑さにやられて,勢いが衰えるなかで,花を咲かすのだから・・・。

わたしの住んでいるマンションのすぐ下にあるスーパー・マーケットには毎日のように食材を買いにでかけるので,このサルスベリとも顔を合わすことになる。最近では,「今日も元気か」とこころの中で声をかけながら,逆に,この木から元気をもらっている。もちろん,立ち止まって,しばらく眺めているのだが・・・・。

カメラを持ち出していって写真を撮っていたら,初めて気づいたかのようにサルスベリを振り返り,「ああ,きれい」と言う人もあれば,このおじいさんはなにをやっているのだろう?と訝る人もいる。世の中,いろいろの人がいて面白い。総じて小さな子どもは素直でいい。わたしがカメラを構えている方向をみて,「お母さん,きれいだね」という女の子がいる。それだけで嬉しい。ことばを交わさなくても,この子とは気持が通じている。

ここまでサルスベリが元気になったら,来年もまた立派な花を咲かせてくれることだろう。花の少ない夏にあっては,希少な価値をもつサルスベリの木である。しかも,開花期間が長いのも魅力的だ。幹に近い方から開花していき,次第に先端が開花する。早く咲いた花芽は受粉して青い実となっている。

そばに近寄って,花房を観察してみると,青い実と花とが半々くらい。ちょうど,いまが開花の中頃というべきか。いつごろまで花が咲き続けるのか,これもまた,これからの楽しみ。

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