2015年10月25日日曜日

「波風立つ 五輪海の森」。400億円「高い」とIOC。国際カヌー連盟も苦言。

 東京五輪は大丈夫か。そんな不安材料がつぎからつぎへと露呈している。東京五輪の不安材料については,大手のメディアがみんな腰が引けているのに,それでも後を断たないほどに,ぼろぼろとでてくる。東京新聞はその先陣を切るようにして,その不安材料を報道している。それでもまだ足りない,というのがわたしの立場。不安材料はもっともっと,いっぱいあるのだ。にもかかわらず,この程度だ。東京新聞ですら,東京五輪となると腰が引けている。なぜ?

 東京五輪を,世界に向けて誇れる大会にしたいのであれば,不安材料を早めに指摘して,それをクリアすることが先決ではないか,これがわたしのスタンスだ。

 
10月22日(木)の東京新聞が,写真のような記事を報じている。これも氷山の一角にすぎないのだが,他の全国紙に比べれば,踏み込んだ報道となっている。まずは,この記事のつかみの部分を引用しておく。

 2020年東京五輪でボートとカヌースプリントの競技会場として新設される「海の森水上競技場」について,国際カヌー連盟の幹部が,東京都が16日に発表した基本設計に「風や波の対策が不十分」と不満を示していることが,関係者への取材で分かった。都は詳細設計と施工を一括で入札業者の公募を始めており,競技団体の理解を得られないまま整備事業が本格化する。(中沢誠)

 問題点は挙げていけばきりがないほどあるが,新聞が指摘する核心部分だけを引用しておけば,以下のとおり。

 東西にコースが延びる水上競技場は近くで風車が稼働していて風は強く,夏は南風が多いので横風になる。水路は垂直護岸なので波が跳ね返り,護岸に近いコースが不利になりかねないとの懸念もある。

 と新聞は遠慮がちに報じているが,国際カヌー連盟は,これでは駄目だから改善を,とはっきり求めている。それに対して東京都は「善処する」という程度の姿勢で,入札業者の公募を始めている。国際カヌー連盟の要望がどこまで反映されるかも未知数のままだ。ここでも,新国立競技場のときと同じような「見切り発車」をしようとしている。この,いい加減な体質は,どこも変わらないようだ。政治の堕落が官僚の堕落にまで蔓延してきている。

 なぜ,こんなことになるのか。

 そこには,東京都が必死になって隠しつづけている「止むにやまれぬ事情」がある。「海の森水上競技場」などという,あまりにできすぎたネーミングにすべてが秘匿されている。「海の森」などと,なんとまあ美しいネーミングをしたものか,と裏事情を知っているわたしには笑止千万である。この「海の森」と称する地域一帯は,東京都が埋め立てた土地で,長年にわたって売りにでていたが,だれも買い手がなかった土地である。少し年配の人ならだれでも知ってのとおり,つい,この間まで有毒ガスが漏れていたり,発火して燃えていたり,といったどうにもならない土地なのだ。しかも,地下になにが埋まっているのかも,廃棄ゴミ以外にはない,ということもはっきりわかっている。その下は海底だ。こんな土地を買い取る不動産屋はいない。

 東京都は困りはてていたのだ。この難題を解消するために,じつは,東京五輪招致のアイディアが浮かんだ,そのアイディアに当時の石原都知事が食らいついた,というのがことの真相だ。そして,どうにもならない土地は全部植樹をして覆い隠し,そこに「競技コース」(2000m×8レーン)を設定すれば,すべて問題が解消するという算段だ。だから,少々,「横風」吹こうが,波が跳ね返ろうが,そんなことを忖度している猶予はない。なんとか,口裏を合わせて,さも善処し,対応したかのようなポーズをつくって乗り切ろうというのが本音だ。

 しかし,こんなことをしていると,最終的にどうなるか,だれの目にも明らかなのに・・・・。
 これほどに,政治が堕落し,官僚も堕落し,組織委員会(森喜朗会長)も堕落し・・・・,とその連鎖は止めようがないほどだ。国のトップが堕落しているのだから・・・・。実務に当たっている官僚もまた同様だ。言ってしまえば,総無責任体制。

 これで,東京五輪2020をやれるとおもっているのだろうか。わたしには理解不能である。

 どうやら,東京五輪という一大事業に群がる利権屋たちが・・・・,このさきは恐ろしくて,さすがのわたしも書く気になれない。あとは,想像にお任せする。
 ちょっと,テーマが大きすぎるので,いつか機会をみつけてしっかりと書いてみたい。ということで,今日のところはここまで。

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